ウェイト版タロットカードにおいて、その配色自体も重要な意味を持ちますよ。
ちょっと今回は「女帝」のカードを見てみましょう。
空は太陽の黄金色に染められ、足元の麦の穂も黄金色に実っていますね。
黄金色、それらは豊かさで囲まれていることを示していますよ。
ゆったりと柔らかい椅子に腰掛けた女帝の横には、金星のマークをもつ竪琴が置かれていますね。
この「金星」は占星術では愛の星、美の星として知られていて、このカードの意味を図示しているわけです。
前の記事でとりあげていた「女教皇」では女性器の象徴である「ザクロ」の絵が描かれた布がその神殿の内幕として掲げられていたのを覚えていますか?
このカードです。
ですが、「女帝」のカードにおいては、ゆったりとしたドレス生地として直接身につけられていますね。
ちなにみこのドレスは、マタニティドレスなんですね。
「女帝」は身ごもっており、そこには愛情の豊かさ、子を慈しむ心、母性を表現しています。
これは「女教皇」が「ザクロ(=女性器)」を女性としてのシンボルとして神聖視しているのに対し、女帝では「ザクロ(=女性器)」を身につけることで、女性としての
実際的な機能(母性を含む)、女性原理を示しているといわれています。
つまり、カードの並びが、「2.女教皇」から「3.女帝」へと移ろいは、少女から母性への移ろいもそこに示されているわけですね。
カードの並びも奥深いんですねぇ。
そして周りの景色にも注目すると、非常に自然豊かなことが見てとれます。
自然への憧れ、そして、母になった彼女の生命への賛辞がそこには感じられませんか?
ただ、彼女が普通の女性とは違うなぁって思わせるのは、その右手に掲げた権威を示す錫杖と星型のキンバイカの金冠ですね。
その星型のキンバイカは全部12個あります。
これは12星座を表し・・・つまりは宇宙の中心に自身がいるということを表していて、それが「女帝」としての彼女の地位を象徴しているのです。
ほんと、非常に「愛」に満ちた、そして「豊かさ」にあふれたカードといえます。
しか~し、マイルセイユ版になるとガラリと様相が異なるのです。
こちらがマルセイユ版の「女帝」カードです。
見るからに「女王」という風貌ですねぇ・・・厳しそう。
右手に持った竪琴には王家の紋章をそして権威を示す錫杖をお持ちです。
服装も王族の権威を現していますね。
いわゆる「女帝」として一般にイメージする図柄となっていますね。
ウェイト版のもつカバラ要素はまったく無いといってもよいです。
なので、どうしてもこのカードでの結果と、ウェトイ版での結果では読み方が異なるというのが本当に顕著に出てしまいます。
けれどもそこには共通の愛の象徴がある
それは、それぞれの女帝の向きに注目です。
ウェイト版は体ごと右側をむいた形で腰掛けています。
自然とその目線はゆるやかに右側を見るようになっているんです。
そしてマルセイユ版は体は正面をむいてはいるが、その目線はやはり右側に向けられています。
タロットカードにおいては、その目線も重要な象徴となり、このように右側をみつめるのは『親しい相手・家族・友人』を見ているとされているのです。
また、もう少し象徴的なものとしては、そこに「未来」を見ているとされています。
女性が生命を生み出すという事柄と、その女性性をそこにも見ることができますね。
実占で私はスプレットの中にこの女帝を見ると、ほんと女帝の持つ豊かさと生命力に感じ入ります。